
2025年8月13日 日本経済新聞 電子版発行記事より引用
愛媛県松山市沖に浮かぶ離島・中島は、温暖な気候と斜面地を生かした県内有数のかんきつ産地として知られる。中島出身で「島とみかん」を運営する田村未来さん(42)は、この特産を食用にとどめず、アロマとして世界に発信する取り組みを進めている。かんきつは果皮・枝葉・花から異なる香りを抽出でき、特に花から得られる香りは高級アロマとして評価が高い。田村さんは「中島はアロマの観点からも宝の島」と語る。
田村さんは中学まで島で育ち、大学卒業後は旅行業界で勤務。その後アロマに関心を持ち、ふるさとの可能性に気づいた。2023年5月には中島にアロマ蒸留所を開設し、伊予柑や愛媛独自の高級品種「甘平」など規格外果実を原料に9種類のアロマを製造。売上の一部を生産者に還元し、農業所得の向上にもつなげている。
現在は東京を拠点にしながら月の半分を島で過ごし、地域活性化にも関与。姫ケ浜ビーチでのテントサウナイベントでは、ロウリュに自らのかんきつアロマを活用するなど、観光と島の資源を結びつけている。田村さんは「商品開発にとどまらず、中島独自の香りを通じて地域コミュニティを活性化し、世界に魅力を発信したい」と意気込む。今後は松山空港など観光拠点での販路拡大も視野に入れる。